パリ協定-新しい地球温暖化対策の国際的枠組み|蓄電池バンク

蓄電池専門用語集 - パリ協定

パリ協定(ぱりきょうてい)

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パリで開催された第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21)において2015年12月12日に採択された新しい地球温暖化対策の国際的枠組み。2016年11月4日に発効になりました。

当協定では世界的な平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保つ(1.5℃以内)ことを目的とし、今世紀後半には世界的に温室効果ガス排出量を実質的にゼロにするという長期目標を掲げている。これは温室効果ガスの排出量を森林などの生態系による吸収量より低く抑えることを意味しています。

この目標を達成するため、温室効果ガスの排出量の多い一部の先進国だけでなく、参加する196の国・地域すべてが削減目標を提出し、5年ごとにより改善する形で見直しが行われることになっています。
締約国間においては、先進国は発展途上国へ温暖化対策の為の資金援助を行うことが義務付けられ、技術供与の促進、損害・被害をこうむる国々への支援の仕組みも内容に盛り込まれており、また、透明性を担保するために資金提供や技術提供などに関しての情報公開も行われます。

パリ協定は1997年に採択された「京都議定書」から数えて18年ぶりの国際合意であり、参加締約国すべてが温暖化に対して取り込むことが画期的であると高く評価されています。加えて、京都議定書を離脱したアメリカ、経済発展に伴って温室効果ガスの排出量が急増している中国やインドも参加している点も意味合いが深いでしょう。
これらの国が参加したことには政治的な意味合いも強いのですが、特に中国は世界最大の温室効果ガス排出国であり、大気汚染が深刻な社会問題となっています。その改善の意味合いもあり、中国では石炭を使う火力発電所から再生可能エネルギーへの取り組みを拡大することが発表されました。
一方でアメリカは国内産業擁護のため、2017年6月に脱退を表明。中国に次いで温室効果ガス排出量が多いアメリカの脱退によって、協定にどのような影響が出るかが懸念されています。

このパリ協定によって、水力発電の拡大や、太陽光発電や風力発電の市場での世界的に活発な動きなどが見られます。その一方で、今後に向けて国際的なルール作りも必要と言えます。
日本においても2030年の目標達成のため、エネルギー使用機器の効率化を進めるトップランナー制度をこれまでの製造業だけでなく流通・サービス業にも適用し、中小企業への省エネ設備の導入支援、新築住宅のZEH化、断熱改修・蓄電池設置といった既存住宅の省エネリノベーションなどの施策が推進されています。

■パリ協定と京都議定書の主な相違点

パリ協定 京都議定書
目的・目標 産業革命以前からの気温上昇を2℃より低く(1.5℃に)抑える
今世紀後半には温室効果ガス排出量を実質的にゼロに
大気中の温室効果ガス濃度の安定化
先進国全体の温室効果ガス6種の合計排出量を1990年に比べて少なくとも5%削減する
削減主体 すべての締約国 先進国のみ
各国の削減目標 全ての国で自主的に削減目標を策定、報告する
5年ごとに見直
先進国の政府間交渉で決定し、途上国に削減義務はない
排出権取引も行われる
目標達成の義務付け なし あり(罰則あり)
途上国への支援 先進国には資金援助の義務付け
途上国には自主的な資金拠出を求める
途上国支援が先進国に義務付けされ、特別気候変動基金、後発開発途上国基金、適応基金が設立・運営される

関連用語 系統 一般電気事業者 再生可能エネルギー
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