蓄電池専門用語集 - 全固体電池

全固体電池(ぜんこたいでんち)

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蓄電池は正極と負極、および電解質で構成されており、電荷を帯びたイオンが電極間を行き来して充放電が行われている。
このうち、リチウムイオン電池などでは液体のものが用いられている電解質を固体状にした蓄電池(二次電池)。

全固体電池の大きな特徴は安全性にある。
これまでの蓄電池は液状の電解質を用いていたために液漏れなどの危険性があった。特に可燃性を有し、化学熱傷(化学物質による火傷)を起こす希硫酸を用いているリチウムイオン電池では、過去に携帯やパソコンのバッテリーの発火事故を起こしている。
しかし電解質を固体化させることで、発火しにくくなり、液漏れ、液状電解質内での短絡(ショート)の心配もなくなる。また、高温状態でのガス化もほとんどしなくなるため、約70度が動作する上限温度であったのが100度の高温下でも問題なく動作するようになる。
安全性だけではない。固体化することでエネルギー密度も高まっている。そして液状電解質ではできなかった正極と負極の積層構造が可能であるため、出力を上げる場合は積層を重ねることで効率よく上昇させられる。
全固体リチウムイオン電池を従来のリチウムイオン電池と比較した場合、エネルギー密度は2倍に達し、高出力、分単位の高速充電、長寿命といった多岐にわたる改善がなされている。

安全性と高出力、この二つの特性は、持ち運びする携帯機器の充電池や電気自動車の大型バッテリーに適しているといえる。
エネルギー密度の高い蓄電池は同容量であればより小型化・軽量化が可能であり、量産手法が確立されれば高額のEVのコストダウンを期待できる。
また、これまで30分以上かかっていた電気自動車の充電時間が大幅に短縮できるならば、バッテリーの過度の大容量化によって航続距離を延ばさなくても、電気ステーションの給電でより遠方までの走行が可能になる。 加えて、全固体電池の引火しづらい特性は、事故時における引火・爆発などの被害拡大の抑制につながることになる。
このような特性からもEVの次世代バッテリーとして全固体電池に期待が集まっている。

このように優れた特性を持つ全固体電池だが、いまだ研究段階にあり、量産化を行うにはクリアしなければならないハードルが存在する。
その一つに、固体の電解質はイオン伝導性が低いという問題もある。有力な無機固体電解質の材料としては硫化物系と酸化物系があげられるが、硫化物系の材料では硫化水素を発生させるため、外気に触れないように封止する必要があり、生産コストが高くなってしまう。酸化物系の材料では化学的には安定しているが、実用に適う性能が得られていない。そのため酸化物系固定電解質部材の単結晶化の開発などが関連企業と連携して行われており、2020年ごろを目標に全固体リチウム二次電池やマイクロバッテリーの実用化が進められている。

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