蓄電池専門用語集 - 水素社会

水素社会(すいそしゃかい)

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石炭や石油などの化石燃料に代わって、燃焼した際に二酸化炭素が発生しない水素を主要エネルギーに位置付けて活用する社会のこと。

石油や石炭を燃焼させてエネルギーを取り出した場合、二酸化炭素が発生する。
京都議定書やパリ協定で問題視されたように、温室効果ガスである二酸化炭素の環境への負担は大きい。
エネルギー・経済統計要覧2017年版によれば、2014年の世界の二酸化炭素総排出量は330億トン。そのうち日本の排出量は世界第五位の3.6%、12億トン。一人当たりの排出量もアメリカ、ロシア、韓国に次いで四位の9.5トンである。
これは日本が火力発電や車などに使用する石炭や石油(ガソリン)に対して社会的な依存の度合いが大きいことが理由の一つに挙げられる。
その一方、京都議定書で日本に課されていた削減目標の6%は海外から排出権を購入して2016年に達成している。自力達成が成せなかった原因には東日本大震災以降、火力発電への依存度合いが増大したことによる二酸化炭素排出量の増加も挙げられる。
このように背景もあり、二酸化炭素を排出しないクリーンなエネルギーの導入が求められた。これには多様なエネルギー源からエネルギーを生み出すことで、有事の際のエネルギーセキュリティの向上も目的としている。
その一つの形が再生可能エネルギーによる発電、つまり太陽光発電や風力発電などの活用である。そしてその別の形が、水素を次代の期間エネルギーに位置付けて利用拡大することで、二酸化炭素の排出量を削減し、省エネを進めていこうというのが「水素社会」である。
現在では家庭用燃料電池「エネファーム」や燃料電池自動車(FCV)に水素は活用されている。

水素をエネルギー源として取り扱う上で懸念になっているのが「危険性」である。
水素は可燃性の気体であり、水素と酸素が混ざり合って爆発的に燃焼する「水素爆発」が起こる可能性もある。
そのため多くの人が水素を危険なものと捉える傾向にあるが、水素は空気よりも軽量の期待であるため拡散しやすく、密閉した空間ではなく屋外ならば爆発の危険性は低く抑えられる。また同体積での水素の有するエネルギー量は低く、爆発力は低い。
法律上の規制も高圧ガスと同程度であり、水素スタンドやFCVにおいても幾重にも安全対策が施されている。人体にも無害であり、取扱いも有資格者によって行われるため、水素の安全性は十分保たれているといえる。

水素は先にも述べたとおり、燃焼時に水のみが発生し、二酸化炭素が生じない。このことから水素社会が実現すれば大きな省エネ効果を生むことになるが、必ずしも二酸化炭素ゼロとは言い切れない。水素の製造過程において二酸化炭素が発生するからである。ただ、水素とガソリンを精製過程から比較した場合、水素のほうが二酸化炭素排出量は少なく抑えられることになる。

  • 水素の精製方法は大別して下記の四通りがある。
    • 風力発電などの再生可能エネルギーを用いて水を電気分解する。
    • この手法では最も二酸化炭素が発生せず、クリーンな手法といえる。
    • ただ、エネルギー効率がそれほど高くないという問題がある。
  • 天然ガスへの水蒸気改質
    • 天然ガスに含まれるメタン(CH4)と水蒸気を反応させることで水素と一酸化炭素に、一酸化炭素に水蒸気を反応させることで水素と二酸化炭素を生み出す製造法。
    • 工業的に大規模製造する場合に用いられる手法だが、化石燃料以外にもバイオエタノールなどでも可能なため、ガソリンスタンドにエタノールのタンクを設置することで燃料電池自動車への水素供給を行う研究が進められている。
  • 製鉄所などからの副産物
    • 製鉄所で石炭を蒸し焼きにしてコークスを生成する過程や、食塩精製工場で塩水を電気分解して苛性ソーダを製造する過程で、水素を50%以上含むガスが発生する。
    • 混合ガスなので追加の精製処理が必要であることと、副次的に発生した水素の大部分が工場で再利用されるため外販が可能な量があるかどうかの問題がある。
  • その他
    • バイオマス発電で木質材料をガス化する手法や、光触媒を用いて自ら直接水素を取り出す手法など、いくつかの方法が研究・実用段階にある。

このような水素社会が進められる背景にはもう一つ、日本国外に頼らないエネルギー源の確保という意味合いもある。
無尽蔵にある水と再生可能エネルギーによって精製される水素を基幹エネルギーに据えることは、石炭や石油など主要なエネルギー資源を輸入に依存している日本にとって、エネルギーセキュリティの大きな変遷といえる。
世界第三位の経済大国である日本は世界全体のエネルギーの5%以上を消費しており、経済力や技術力を将来にわたって維持するためにもエネルギーの安定供給と確保は、短期・長期において重大な問題である。
そのような現状において、燃料としてだけでなく発電にも用いられる水素は、その多様性のみならず、電気と異なり物理的に圧縮して大規模貯蔵もできる。それらの特徴は家庭用、産業用のエネルギー供給源として様々な問題や役割への対応可能性を有していると考えられる。

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