蓄電池がエネルギー社会の基盤へ|蓄電池バンク

蓄電池がエネルギー社会の基盤へ


蓄電池が切り開く再生可能エネルギーの可能性

再エネ普及の課題が明確に

2014年10月、九州電力を皮切りに電力各社が相次いで接続回答を保留する事態が起きました。特にメガソーラーをはじめとする発電所事業は、次世代エネルギーの大本命として建設が過熱化。 早い段階で需給バランスが崩れるという予測の末、苦渋の決断であったことは言うまでもありません。

太陽光発電のネックはやはり夜間や天気の悪い日は発電しないところでしょう。天気のよい昼間には発電量が一挙にピークになり、夜は完全に休止。 雨の日は快晴の日の何分の1かに発電量が低下。きわめて不安定性の強い太陽光発電は、長い目でみれば電力の主役として期待するには少々難ありと言わざるをえません。

しかしながら、この不安定性をクリアできれば、太陽光発電は盤石の発電システム。それをすぐにでも可能にできる施策として期待されているのが「蓄電池」なのです。

需給安定のカギは「蓄電池」

メガソーラー普及の後を追うように、なぜ蓄電システムが注目されているのでしょうか。

太陽光発電で問題となっているのは、昼間と夜間、晴天と雨天などで生じる発電量のギャップ。 ここに蓄電池を導入すれば、昼間の余剰電力を蓄電池に貯めておいて、発電のない夜間に電力を放出することができます。 こうすることで、太陽光発電の発電量が変動したとしても安定して電力を供給できるわけです。

太陽光発電安定化の鍵は蓄電池

最近になってにわかに注目されている蓄電池ですが、アメリカのカリフォルニア州ではすでに一般化しており、電力会社に対して原発1基分を越える容量の蓄電池を導入するよう義務付けています。 環境先進のカリフォルニア州らしく、2020年までには約3分の1を再生可能エネルギーでまかなう計画があり、蓄電池を併設することで電力安定供給を実現させる目論見なのです。

日本でも、安定供給の新しい基軸として2010年より実証実験が行われており、「宮古島メガソーラー実証研究」はその中心的役割を担ってきました。 その実証研究の成果として、蓄電池のもう一つのメリットが浮かび上がったのです。

電力の需給バランスが崩れると、系統全体の周波数が不安定になり、電力品質の低下をまねくという問題があります。電力品質の低下は、家電や電気設備へ悪影響を及ぼしてしますのです。 蓄電池のもう一つのメリットは、周波数を平滑化させること。浮き沈みの激しい太陽光発電からくる電力は、蓄電地を介して充放電を繰り返しながら平滑化されていき、質の高い電力が系統へ流れていくことになるのです。

蓄電池は系統安定化にも貢献

九州電力からはじまった一連の接続回答保留の問題は、改善の方向に向かいつつあり、このほど「個別協議」の要件が公表されることになりました。

その内容は蓄電池の併設。太陽光、風力の発電設備では蓄電池を併設し、昼間に充電して夜間に放電することが要件として盛り込まれています。 太陽光発電の場合、蓄電池の容量は定格出力の83%、風力発電では95%に相当する電力の6時間分。 たとえば、2メガワットのメガソーラーでは、2000kW×83%×6時間の計算となり、9960kWhの蓄電容量を備える必要があります。

今後のエネルギー社会を想定しても、さらに重要性が高まる蓄電池。しかし設備はまだまだ高額であり、補助金など法制度による後押しが必要なことは言うまでもありません。 あまりに収益性を損なうものであれば、再生エネルギー普及の足かせとなることは必然といえるでしょう。

電力自由化も見据えた将来像には、需給安定と品質維持がついてまわります。蓄電池への期待は非常に大きく、日本エネルギー社会を変革するような技術革新が今望まれているのです。

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