クラウド蓄電池が生み出すエネルギーの近未来
無限の可能性を秘めた次世代システム
2014年に入り、「クラウド蓄電池」というワードが脚光を浴びています。
クラウドとはそもそも、自分のパソコンにデータ保存するのではなく、インターネット上にあるサーバーとデータをやり取りすることです。 クラウド化が進んだことで、インターネット環境があれば、いつでもどこでも、閲覧、編集、更新できるようになりました。
他社に先駆けてクラウド蓄電池をリリースしたのが、シャープとNEC。
シャープは2014年5月、同社のクラウドHEMSと組み合わせることで、 使用環境に応じて効率的にエネルギー管理ができるクラウド蓄電池システム「JH-WB1401(屋内設置用)」と「JH-WB1402」(屋外設置用)を発売しました。 従来品と比べ、屋内設置用は約4割、屋外設置用は約3割の小型化がはかられています。
また、NECのクラウド型の電力表示サービス「HEMS」の標準インターフェイス「ECHONET Lite」では、同社の家庭用蓄電システムとの連携が可能。 地域内で最も電力が使われるピークの時間帯には、宅内のエネルギー機器を節電モードで運用し、制御することができます。
従来、太陽光発電システムと蓄電池システムでそれぞれ必要だったパワーコンディショナを一体化することで、売電しながら充電できたり、 停電時に電力消費しながら充電することも可能となっています。
クラウド蓄電池でできること
クラウド蓄電池はHEMS(ホームエネルギー・マネジメントシステム)の中核的な役割を担っています。
たとえば、天気予報から翌日の太陽光発電の発電状況を予測して、充電や放電を自動的に制御することが可能。 また、ユーザーのライフスタイルから電気の使用状況を分析し、 最も効率よくエネルギーを運用したりと、まさにライフプランナーとしての役目も果たしてくれるのです。
また、電力がひっ迫しているというニュースが多い昨今、それらの警報情報もクラウド蓄電池が取得し、 いつ停電してもいいように放電待機の状態にしておくといったことも可能です。
そもそも蓄電池システムはそれ単体で稼働させても、夜間の割安な電気を蓄電しておけるというメリットがありますが、 ソーラーシステムと連携させることでさらに運用の幅が広がります。 そして、クラウドHEMSと連携させたクラウド蓄電池ではさらに技術革新が進んでおり、 まさに無限の可能性を秘めた次世代システムといえるでしょう。
他にも、スマートフォンやタブレット端末で蓄電池の残量を確認できたり、 エアコンなどの家電機器を遠隔操作することもできてしまうのです。
蓄電池が主軸となるスマートハウス、電力小売自由化。
"創エネ""蓄エネ""省エネ"。これが3つがうまく機能したスマートハウスは、これからの住宅設計で欠かせない存在となるにちがいありません。
完全実用化に向けた技術革新は一歩ずつ進化しており、そう遠くない未来には再生エネルギーですべてをまかなう循環型の社会が日常風景となっていることでしょう。
最近急速に技術開発が進められているのが自動車の分野です。
電気自動車にはリチウムイオンバッテリーが搭載されており、自宅の車庫にマイカーをとめている間、
家庭の蓄電システムとして稼働させることもできるのです。
万一停電となった際には電気自動車の電気を家庭で使うことができ、
充電と放電のやり取りがクルマと家の双方向で行える夢のようなシステムなのです。
さらに2016年に導入が決まりつつある電力小売自由化に向けて、エネルギー分野を取り巻く環境は刻一刻と変化を遂げています。 電力小売自由化がスタートすれば、特定の電力会社ではなくいろんな事業者の電力が活発に売買されるようになることでしょう。
この際クラウド蓄電池を導入していれば、最もリーズナブルな電力プランを選び出し、
自動的に購入してくれるといったこともできるわけです。
クラウドHEMSと連携させた蓄電システムは、家庭エネルギーのエキスパートとなって活躍し、
私たちに数々の恩恵をもたらしてくれることでしょう。