蓄電池と太陽光発電の連携
2011年7月に固定価格買取制度がスタートし、加速度的に普及拡大が進んでいる太陽光発電システム。
優遇された買取価格の設定や各種法整備が行われたことで、太陽光発電の採算性やメリットは確かなものとなりました。
しかし、太陽光発電システムは、その性質上夜間や天候の悪い日には発電量があまり期待出来ず、停電時などの非常用電源としては今ひとつ確実性に欠ける印象が否めません。
そこで、太陽光発電システムに蓄電システムを併設し連携することで、強固なライフラインを確保出来るほか、平常時においても、お互いの特徴を補い合ってより効率的に節電やエコに取り組むことが可能となります。
蓄電池と太陽光の連携
日中は太陽光発電システムで発電した電力を早朝や夕方・夜間は蓄電池に貯めた電力を使用することで、購入する電力量を大幅に抑えられます。
蓄電池には「省エネモード」や「ピークシフトモード」といった幾つかの運転モードがプログラミングされており、太陽光発電システムの設備容量やライフスタイルに合わせて最適な運用を図ることが可能です。
例として、太陽光発電システムの設備容量が大きく、日中の電気使用量が少ないという方の場合は、太陽光発電で発電した電力を全て売電するためにも、押し上げ効果のないモードを選択することが有効と言えるでしょう。
一方で、設備容量は小さいけれど日中の電気使用量が多いという方の場合は、太陽光発電システムの電力に加え、夜間に貯めた蓄電池の電力を使用することで、売電量をアップさせることが可能となります。
ただし、この場合は太陽光発電システム単独の買取価格ではなく、W発電の買取価格が適用されるため注意が必要です。(導入時にどちらかを選択しなければなりません。)
より確実な非常用電源として
大規模な災害によって停電が長引く場合、太陽光発電システム単体だけでは対応しきれない部分も多いのが事実です。また、逆に蓄電システム単体の場合でも、いつまで電気が持つかはわかりません。
太陽光発電システムと蓄電システムを併設することは、非常事態が発生した際にも有効でしょう。
停電時において、日中は太陽光パネルが発電した電力を使用し、余った電力を蓄電池に貯めることで夜にも電力を使用することが可能です。
パワーコンディショナの自律運転機能よりも多くの電力を使用することが出来るため、暮らしへのダメージも多少抑えられるのではないでしょうか。
また、太陽光発電システムのみならず、エネファームなどとの組み合わせでも大きな効果を発揮することが期待できます。
ピークシフトの効果を高める
電力不足によって発生し得る最悪のシナリオは、電力消費が集中する時間帯(ピーク時)に電力供給が追いつかなくなり、想定外の停電が発生してしまうことです。
そのため、電気の総量は変わらなくても夜間のうちに蓄電池に電気を貯めておき、太陽光発電システムで発電した電力を使用すると同時に蓄電池から放電を行うことで、より簡単に、そして効果的にピークシフトに取り組むことが可能となります。
ダブル発電とは?
ダブル発電とは、「太陽光発電システム」と「コージェネレーションシステム」を用いる発電方式のことを指しますが、太陽光発電システムに蓄電システムを併設した場合においても、ケースによってはダブル発電と見なされることがあります。
その場合は太陽光発電システムで発電した電力の買取価格ではなく、ダブル発電の買取価格が適用されるため、予め注意しましょう。再生可能エネルギー設備によるエネルギーの買取価格を定める告示には、以下のようにダブル発電の買取価格が適用される条件が書かれています。
太陽光発電設備であって、その出力が十キロワット未満のもの
(太陽光発電設備の設置場所を含む一の需要場所に電気を供給する自家発電設備等とともに設置され、当該自家発電設備等により供給される電気が電気事業者に対する再生可能エネルギー電気の供給量に影響を与えているものに限る。) 経済産業省告示第百三十九号
したがって、蓄電システムが太陽光発電システムによる売電量に影響を与えている(押上効果がある)場合は、ダブル発電の価格が適用されるという事になりますが、蓄電システムが売電量に影響を及ぼさないことが配線図等や製品仕様から客観的に担保できる場合は、太陽光発電システム単独の価格が適用される、という事になります。
電力の使用状況や太陽光発電システムの設備容量、ライフスタイルに合わせて、どちらの買取価格の方がメリットを得られるかを考えて選択することが重要となるでしょう。
なお、10kW以上の太陽光発電システムに蓄電池を併設する場合は、ダブル発電の価格ではなく、全量買取若しくは余剰買取の買取価格が適用されます。