「蓄電池機能付充電器」という選択肢
蓄電池の導入を検討しているご家庭は「蓄電池機能付充電器」という選択肢もあるのをご存知でしょうか。 その名の通り蓄電池の付いた充電器。もともとEV(電気自動車)への充電を目的として開発されたものですが、今年に入り特に注目されている商品です。
蓄電池の場合、補助金を扱うのは環境共創イニシアチブ(SII)。それに対し、蓄電池機能付充電器の場合は次世代自動車新興センター(NEV)より支給されます。補助金額には差があり、世帯の生活スタイルによっては蓄電池機能付充電器を設置したほうがメリットを感じられることも少なくありません。
本章では「蓄電池機能付充電器」について詳しく解説していきます。
「蓄電池」と「蓄電池機能付充電器」の補助金例
ここで、「蓄電池」と「蓄電池機能付充電器」の補助金を比較してみましょう。
蓄電池は12kWh容量。補助金を受給する際の上限額が決められており、機器を216万円で買った場合の補助金は約75万円です。
実購入価格は216万円-75万円=141万円(※本体価格)
一方、蓄電池機能付充電器の補助金はNEVから支給されます。本体価格の上限320万円に対し、補助金が1/2の160万円。蓄電容量は同様の12kWhになります。
実購入価格は320万円-160万円=160万円(※本体価格)
補助対象充電設備型式一覧表 次世代自動車新興センター(NEV)
価格は機能性が豊富な「蓄電池機能付充電器」が少々高めですが、補助金支給額には大きな差があります。
蓄電機能による経済メリット
蓄電機能による経済メリットについてもご紹介しましょう。 ここでは、1ヶ月の電気使用量が450kWhという標準的な家庭を想定します。
蓄電池機能付充電器の蓄電容量は12kWh。実容量を11kWhとすると1ヶ月あたりの充電容量は次のようになります。
11kWh×30日=330kWh
割安な深夜電力を使って充電したとすれば、kWhあたりの差額は、33円(昼間電力)-12円(深夜電力)=21円。この家庭の1ヶ月の経済メリットは、330kWh×21円=6,930円。蓄電機能によるメリットはこのように試算できます。
充電機能による経済メリット
EV(電気自動車)の充電によって得られるメリットも見逃せません。この例では、1ヶ月の走行距離が1,000kmの自動車を所有する家庭を想定しています。
満タン充電を24kWhとしましょう。すると容量24kWhでの走行できる距離は約200kmです。 1,000km走行するのに必要な充電回数は1,000km÷200km=5回、5回充電するのに必要な電力は24kWh×5回=120kWh、 5回充電するのに必要なお金は120kWh×12円(深夜電力)=約1,440円、1ヶ月1,000km走行する自動車の充電代はおよそ1,440円ということになります。
一方、ガソリン車で同じ条件を計算してみると、1ヶ月でどのくらい燃料代が必要でしょうか。
燃費10km/リットルの自動車を所有しているとすれば、1ヶ月に使う燃料は1,000km÷10km=100リットル、 レギュラーガソリン140円/リットルと仮定すると、1ヶ月の燃料代は140円×100リットル=約14,000円、ガソリン車では14,000円の燃料代が出ていくことになります。
よって、ガソリン車をEV(電気自動車)に乗り換えることで得られる燃料費削減メリットは、次のようになります。
14,000円-1,440円=約12,560円
「蓄電池機能付充電器」の導入に向けて
上記の例で試算すると、蓄電メリット6,930円と充電メリット12,560円を足して1ヶ月あたり19,490円の経済メリットが生まれたことになります。
では、この経済メリットを10年間のスパンで見た場合どうでしょうか。
19,490円×12ヶ月×10年=約2,338,800円
この時点で、160万円の補助金を差し引いた導入費用(本体価格)がこの金額(10年分の経済メリット)を下回っているため、誰もが魅力を感じる商品となっているわけです。蓄電機能のメリットも大きく、将来的にEV(電気自動車)を考えている世帯にとっては、一考の余地ありではないでしょうか。
では、導入するにあたって何か要件はあるのでしょうか。
NEVの補助金を受給する際、要件は主に以下のようなものがありますが、これといって難しい制約があるわけではありません。
- 充電器として補助金を受給すると、5年間の保有義務が発生
- 充電設備を設置する土地の使用権限を有していること
- 新規に購入される充電設備であること
メーカー各社はオプション機能も充実
本体システム以外のオプション機能はどういったものがあるのでしょうか。
ここでフォーアールエナジー株式会社の「ENEHAND(エネハンド)充電器」を例にご紹介しましょう。
「ENEHAND(エネハンド)充電器」では、独立コンセントがオプションで用意されています。 万一、本体が故障したときに充電できないと困るため、別途オプションで取り付け可能となっています。
また、現在開発中の「LEAF to Home(リーフトゥホーム)」は必見の機能といえるでしょう。 「LEAF to Home(リーフトゥホーム)」は、専用のEVパワーステーションを設置することで、リーフを家庭用電源として使えるシステム。 これが本格的に普及すれば、マイホーム、マイカーを取り巻くエネルギー環境が一変するに違いありません。
次世代自動車の一翼を担う電気自動車。メーカー各社がしのぎを削り技術革新に取り組む中、日本経済のカギを握る分野として、普及のための施策が次々と整備されています。 今後の住環境は、IoT(Internet of Things)だけでなく次世代エネルギーも踏まえた技術革新が進み、私たちのライフスタイルに劇的な変化をもたらしてくれることでしょう。