蓄電池とその用途|蓄電池バンク

蓄電池とその用途

蓄電池は意外に古くから存在しており、最も長い歴史を持つ鉛蓄電池は約150年も前に発明されています。1960年代からの車社会化とともに鉛蓄電池が発展し、近年ではモバイル機器のバッテリーとしてニッケル水素電池やリチウムイオン電池が実用化されました。

数年前と比較すると、蓄電池の種類や用途は大きく広がっており、現代の暮らしには欠かせないものとなっています。

環境問題やエネルギー問題といった課題の解決策として、太陽光発電システムや風力発電システムの普及や電気自動車等の研究開発が推進されている現在、再生可能エネルギー設備の出力安定化対策、次世代自動車等の動力源などとして、蓄電池への注目はますます大きくなっていると言えるでしょう。

蓄電池の利用シーン

蓄電池の利用シーンは、ピークシフトや再生可能エネルギーの安定化・非常用電源・車のバッテリー・次世代自動車の動力源としてなど様々であり、シーンに応じて求められる蓄電池の性能や特性は異なってきます。

ここでは、蓄電池の利用シーンを大きく3つに分け、シーン毎における蓄電池の応用法や今後の展望について考察していきます。

蓄電池の利用その1「系統用」

負荷平準化として

ピークシフト

東日本大震災の影響から、依然として電力需給が逼迫している現在、負荷平準化の取り組みが広く求められており、揚水電力に変わる平準化の技術としてNAS電池やレドックスフロー電池が注目されています。

NAS電池による負荷平準化は、負荷の少ない夜間に充電し、負荷がピークとなる昼間に放電するといったもので、これによってピークカットに依る契約電力の低減や、大幅に電気料金を削減することが可能となります。

また、非常用電源や瞬停対策の機能を付加することも可能であるため、変電所だけでなく、工場やその他大規模施設にも設置されるケースがいくつか見受けられます。

再生可能エネルギー設備の出力安定化対策として

太陽光発電、風力発電等の再生可能エネルギー設備は、環境に優しく安全な発電方法であることから、原発に変わる代替エネルギーとしての導入拡大が期待されていますが、出力が天候や時間帯などによって左右されるため、今後本格的な電源として扱うためには、蓄電システム等を用いた出力の安定化が必要とされています。

現在のところ実証研究は完了段階にあり、既に発電設備への導入が一部で開始されていますが、NAS電池に限らず、大容量化、低コスト化、高効率化等の技術開発は必要不可欠でしょう。

【再生可能エネルギーの発電例】
再生可能エネルギーの発電

蓄電池の利用その2「需要側定置用」

電気料金の削減、効率的なエネルギー利用策として

HEMS
参照:燃料電池.net

蓄電システムの導入によって得られるメリットとして、電気料金を大幅に削減できることが挙げられます。

料金単価の安い夜のうちに充電し、電力使用の多い日中に放電することで、料金単価の高い日中の電気購入量を抑えることが出来ます。
また、電気料金の削減と同時にピークシフトに取り組んでいることにもなり、社会システムへの貢献にも繋がると言えるでしょう。

また、太陽光発電システムやコージェネレーションシステム、HEMS/BEMSと蓄電システムを組み合わせることで、これら設備やシステムによって得られるメリットを更に大きくすることが出来ます。

非常用電源(バックアップ)として

コンセント

近年、日本国内では各地で地震や台風といった災害が多発していることから、民間レベルで行える防災対策について検討が行われており、「災害に強い家造り」「事業計画の策定」という観点からも、蓄電システムの導入は大きな意義のあるものとして認識されています。

災害発生時には何よりも情報の確保や発信が重要となるため、テレビやパソコン、電子機器の充電器を使用できる程度の電力が最低限必要となります。
また、社内サーバーや店舗のコンピューターなど、常に起動している状態が望ましい機器のバックアップとしても、蓄電システムは多く用いられています。

蓄電池の利用その3「次世代自動車用」

チャージポイント

2009年から続々と市場に投入されている電気自動車やプラグインハイブリッド自動車といった次世代自動車。その動力源として、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池といった蓄電池が利用されています。

車載用電池の市場規模は家庭用・住宅用蓄電池の市場規模よりも遥かに大きく、エコカー減税などの優遇税制もあり、その市場規模は2,000億円程度にも達していますが、今後技術開発が進むにつれ、更に規模は大きくなると言えるでしょう。

現在のところ、次世代自動車に用いられる電池には、航続距離の確保や軽量化といった課題があるため、本格的な普及を図るためにも更なる性能の向上やコスト低減が求められています。

種類 特徴 用途
鉛電池 正極に二酸化鉛、負極に鉛、電解液に希硫酸を用いた電池。低コストで安全性・信頼性に優れている。
  • 自動車のバッテリー
  • フォークリフト等電動車の主電源
  • バックアップ電源
ニッケル
水素電池
正極にオキシ水酸化ニッケル、負極に水素吸蔵合金、電解液にアルカリ水溶液を用いた電池。常温で作動し、急速充放電が可能。
  • 充電式電池
  • ハイブリッドカー
  • 鉄道システム用の地上蓄電設備
リチウム
イオン電池
正極に正極に硫黄、負極にナトリウム、電解質にβ-アルミナを用いた電池。充放電ロスがなく、高出力。
  • モバイル機器のバッテリー
  • 電気自動車への搭載
  • 電力貯蔵などの用途
NAS電池 正極に硫黄、負極にナトリウム、電解液に参加アルミを用いた電池。約300度の運転温度が必要だが、長寿命・高密度・低価格。
  • 大規模電力貯蔵
  • 負荷平準化・系統安定化
  • バックアップ電源
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