蓄電池の選び方
最適な蓄電池の導入を図るには
蓄電池に求められる性能は、利用シーンに応じて異なってきます。実際に蓄電池を導入するにあたって、どのような要件をもとに検討を進める必要があるのでしょうか。
導入目的を明確化する
まず最初に、どういった目的で蓄電池を導入するかを明確にすることが重要となります。
例として、家庭用においては停電時の「非常用電源や電気料金の削減を図るもの」として、また産業用においては事業継続計画の対策として「サーバーの無停電装置」に使用するといったことが考えられます。
また、蓄電システムをどんな状況で使用するのかを具体的にイメージすることも重要と言えるでしょう。蓄電池の使用状況がイメージできると、蓄電システムが本当に必要なのかどうかを検討でき、導入費用以上のメリットを得る事ができます。
目的と使用状況が定まったら、使用する機器や設備を選定し、それぞれの台数と使用時間を考察していきます。おおまかな目安として各製品の消費電力については、以下の表をご参照下さい。
使用電力量から必要な蓄電容量・出力を見極める
一時使用か常時使用かによっても異なりますが、使用する機器・設備の消費電力量に想定使用時間を乗算することで、必要な電力量を求めることが出来ます。
ただし、電気製品の負荷は運転状況によって異なるため、蓄電池にかかる負荷がどのように変動するかを考慮しなければなりません。
蓄電池の仕様書に記載された容量は一定の条件化で使用した場合の数値であるため、予めこの変動を考慮しておかなければ、実際には大きな過不足が生じる恐れがあります。
また、接続したい機器の合計消費電力が蓄電池の最大出力を上回らないようにする必要があるため、注意しましょう。
蓄電池の設置条件とは?
蓄電池の内部には、運転制御を行うシステムコンピューター等が搭載されており、デリケートである分適切な利用が必要となります。設置にあたっては、設置環境が各メーカーの推奨する条件をクリアしているかどうかをまずは確認しておかなければなりません。
ここでは、家庭に定置用リチウムイオン蓄電池を導入する場合に求められる条件をご紹介します。
必ず遵守しておきたい事項
一時使用か常時使用かによっても異なりますが、使用する機器・設備の消費電力量に想定使用時間を乗算することで、必要な電力量を求めることが出来ます。
- 日本国内であること
- 北海道、離島を除く次世代エネルギー基準地域区分Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ、Ⅴの地域であること。
- 標高1,000メートル以下であること
- 作業スペースを含む設置スペースに余裕があること
動作保証や信頼性の観点からクリアしておきたい事項
一時使用か常時使用かによっても異なりますが、使用する機器・設備の消費電力量に想定使用時間を乗算することで、必要な電力量を求めることが出来ます。
- 重塩害地域、塩害地域に含まれない場所
- 戸建て住宅の1階の整地された屋外
- 熱源機器から離れている
- 年間を通じて運用温度(-10~40℃)の範囲を超えない
- 積雪の影響が小さい
- 直射日光が当たらない場所
- 可燃性又は腐食性の蒸気やガス、粉塵が発生しない場所
- 本体装置に影響を与えるような磁束線が発生しない場所
- 常に人が立ち入らない場所
塩害への対応
塩害とは、沿岸部の地域において多く発生する、農作物・その他の植物や電気設備・鉄・コンクリート構造の施設などが塩分によって受ける害のこと。海上の波頭が砕けることで塩水滴が空中に飛び出し、強風で陸上に運ばれることが原因とされています。
塩害が発生する地域は、直接波しぶきが当たる場所を「岩礁隣接地域」、海岸から200m~500m以内を「重塩害地域」、海岸から2km以内を「塩害地域」というように区分されており、メーカーによっては指定した地域での設置を不可にしているところも見受けられます。
蓄電池を設置する場合は、塩害の発生しない地域に設置することがもっとも望ましいと言えますが、やむを得ず塩害地域に設置する場合は海水飛沫および潮風に直接さらされることを極力回避できる場所へ設置するようにしましょう。(家屋の風下)
なお、メーカーによっては重塩害地域(海岸から300m~500m)における設置を不可、または保証対象外としているケースもあるため、予め確認しておくことが肝要です。