蓄電池の導入コスト
現在、国内において販売されている蓄電池は、正極材・負極材・電解液に用いられている物質によって、大きく4種類に分類することが出来ます。種類によって電圧や蓄電容量といった特性が変わるのはもちろんのこと、導入に掛かるコストも大きく異なってきます。
ここでは、経済産業省の「蓄電池戦略プロジェクトチーム」によって発表された資料「蓄電池戦略」(以下、資料という)を基に、各蓄電池の導入に掛かるコストについて解説していきます。
蓄電池の種類によって
コストは変わる
資料によると、最もコストの安い蓄電池は鉛蓄電池で、1kWhあたり5万円となっています。一方で、最もコストが高いとされているリチウムイオン電池では、1kWhあたり20万円と鉛蓄電池の4倍ものコストが掛かるとされています。
この価格差は、電池の製造難易度や用いられる材料によって決定されると言えるでしょう。
鉛蓄電池は最も古くから利用されている蓄電池で、用いられる材料(鉛・硫酸)が安定的に存在しているため安く、リチウムイオン電池は気象で高価な材料を用い、複雑な製造過程を経て製造されているため高いということです。
構成材料が資源的に豊富なNAS電池のコストは鉛蓄電池よりも安い1kWhあたり4万円、負極に水素吸蔵合金を用いるニッケル水素電池については、1kWhあたり10万円となっています。
定置用リチウムイオン電池は未だ高額
震災を受けてから、防災対策の一つとして注目を集めている定置用リチウムイオン蓄電池。
しかしながら、その販売価格は1kWhあたり30万円前後と非常に高価なものとなっており、電気料金の削減分を算入しても、寿命が10年未満であることを考えるとコストを回収しきれないというのが現状でしょう。
こうした場合には、一般社団法人環境共創イニシアチブや地方自治体が行う補助金事業を活用することで、多少導入コストを抑えることが可能です。
詳しくは【基礎知識】蓄電池と補助金制度をご参照下さい。
蓄電池リースを活用する
最近では、蓄電池のリースを行う企業も見受けられるようになっています。リースを活用することによって、実際に蓄電池を導入するよりも安く導入することができます。
ONEエネルギー株式会社が行うリチウムイオン蓄電池レンタルサービスでは、月々約5,000円で10年間に渡ってリースすることが可能です。10年間で約62万円の負担になりますが、リチウムイオン蓄電池の販売価格が150万円前後であることを考慮すると、非常にお得な価格設定となっています。
ただし、このサービスは中途解約が不可能となっているため、注意が必要です。今後どのように市場価格が推移するかは予測できないため、市場動向を調べつつ、慎重に検討することが重要と言えるでしょう。