蓄電池専門用語集 - 電力自由化
電力自由化は「電力の小売自由化」「電力市場の自由化」であり、 東京電力や関西電力など大手10社の電力会社によって電気事業は地域独占状態だったが、 規制を緩和し、新規参入を増やすことで消費者が電気を購入する電力会社を自由に選べるようになるということ。
最初の電力自由化は2000年3月であり、大規模工場やオフィスビル、
デパートなど「特別高圧」区分において電力会社を選べるようになりました。
その後、小規模工場や中小ビルなど「高圧」区分において段階的に自由化が認められ、
2016年4月に一般家庭や商店などの「低圧」区分で電力自由化が実施されたことで、
全ての消費者が電力会社や料金メニューを選択できるようになりました。
電力自由化の目的は、自由競争を促進し、安い電源から順に使うメリットオーダーを徹底するなどして、
電気料金を最大限抑制することにあります。
消費者は料金の安さだけでなく、アフターサービス、再生可能エネルギーなどの電源の種類など、
様々なニーズによって電力会社を選ぶことができます。また、
他業種・他地域からの算入によってセット割(携帯電話やインターネットなどと電気の契約を組み合わせた割引サービス)などのイノベーションを誘発し、
需要家の選択肢や事業者の事業機会を拡大するという目的もあります。
そもそも、電力自由化は国内産業の為の規制緩和という背景があります。
日本の電気料金は国際的にも高いと言われていた。1990年代のバブル崩壊からの平成不況と呼ばれる経済不振において、
国際的な競争力を高めるために電気料金を下げる規制緩和の一環として改革が進められたのです。
このようにして実施に至った電力自由化だが、大手ではなく新規参入の電力会社に対し、
停電が起こるなどの電気の安定供給に不安を覚える声もあります。
けれども電気の送配電においては以前と変わりがなく、全ての電力会社が共同で使用するので、
送電線にはあらゆる電力会社の電気が混ざり合って流れている状態です。
そのため特定の消費者のみ送電を停止するということもできない状態になっています。
仮に電力不足が起こったとしても、一般電気事業者と呼ばれていた大手電力会社が電力を融通するので、
電気の安定供給は保たれる。そのため契約していた電力会社がつぶれたからといって電気の供給がストップすることもないです。
ただ、停電や電力会社の倒産などのトラブルの際にどのようにして電気を安定供給してくれるのか、その点は契約する前に確認すべきところです。
なお、日本の電力自由化は諸外国の電力自由化とは異なり、「発送電の分離」にまでは至っていないです。
発送電の分離とは、発電と送電を分離し、別々の事業者が行うことです。
現在の日本では、大手電力会社が発電設備と送配電設備のどちらも所有・管理し、国の規制の下にあります。
一方で新電力などその他の電気事業者は、送配電設備を使用しなければ顧客に送電することができないです。
そのため送配電設備の使用の制限・停止や、利用料金のつり上げによって、大手電力会社に有利になるようにされるのではないかという懸念が生まれてしまいます。
そのため、発電事業と送配電事業は分離させ、送配電事業は中立的な立場にしておく必要があります。
ただ、仮に新規電力事業者に送配電に関わる活動まで認めた場合、各社が独自に送電線を無秩序に追加して乱雑になったり、
コストと効果が見合わないからと送電線を引かなかったりと、「電気の安定供給」という原則に適さない活動が行われる恐れがあります。
また送配電設備の維持管理には莫大なコストがかかる上、発電と送配電を一括管理していたことにより効率性のメリットもあります。
発送電の分離は単に別個の事業者がそれぞれを管理すればよいというわけではなく、発電事業と送配電事業の適切な連携を構築し、
コスト面や中立性・公平性の問題を解決していくことが、今後の電力市場にとって肝要になります。
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